株式会社坂詰製材所

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坂詰の越後杉

新潟のブランド材「越後杉」

「越後杉(えちごすぎ)」とは、新潟県で育った杉のことをいいます。ただしブランド材として認められた越後杉を生産するには、新潟県が定めている性能基準をクリアする必要があります。その基準をクリアできた工場が「越後杉ブランド認証材生産工場」として認められ、ブランドとしての越後杉の取り扱いができるようになります。

2018年10月、新潟県初の越後杉JAS認証を当社が取得いたしました。JAS認証で使われる強度の目安「曲げヤング係数」で比較した場合、E70等級の越後杉はE110等級のベイマツとほぼ同等の強度を誇ります。

越後杉の特徴

越後杉は、新潟県産の杉を用いることはもちろん、強度の性能が明確で、狂いが少ないという特徴があります。他の材に比べて調湿性が高く、湿度が高くなると湿気を吸収。床材に用いると夏場でも足元がサラッとします。また断熱性能に優れ、新潟の冬であっても合板フローリングのようにヒヤッとすることがありません。新潟県で育った木ですから、新潟県の気候にもピタリと当てはまるのです。

山から切り出した越後杉の丸太
山から切り出したばかりの越後杉の丸太。
製材された越後杉
製材所にある越後杉のストック。様々な供給の要望に対応いたします。

難しい杉の乾燥

木材は、山から切った木をただ形にするだけでは使うことができません。木は水分を含んでおり、そのままでは建物を支える強度がありません。木はしっかり「乾燥」させることで強度が増す性質を持っているのです。

実は杉の乾燥技術が確立されたのはつい最近の話。杉は他の木に比べ含水率(木材に含まれる水分の割合)が高く、加えてそのバラツキが多い材であることが主な原因です。例えばヒノキの含水率は丸太の中心(心材部)で35~40%、丸太の周辺(辺材部)で60~80%程度ですが、杉は心材部で70~80%、辺材部では150~170%にも達します。そのため、乾燥に時間もコストもかかってしまいます。

そして心材部と辺材部の含水率の「差」が大きいことも、乾燥を難しくしている理由のひとつ。木は乾燥すると「収縮」する性質を持っています。乾燥すると表面から蒸発し収縮するものの、内部は簡単には乾燥せず、膨張したまま。その差ができた部分は非常に強い力で引っ張られ、力に耐えきれずに中から割れる「内部割れ」が発生してしまうのです。

杉は他の材に比べ心材部の含水率が高く、内部割れのリスクがより高まります。その割れを防ぐよう、含水率を均等にしながら落とす技術が必要となるのです。これらの要素が、杉の乾燥技術の構築が遅れた原因といえるでしょう。

「木屑焚きボイラー」によるコストカット

前述の通り、杉は含水率が高く、乾燥に時間がかかります。乾燥に灯油や重油等の化石燃料を用いるとコストもかかってしまい、その結果、他の材と比べるとどうしても値段が上昇、そして越後杉は使われないという流れに……。

その問題を打開すべく、坂詰製材所では有人管理による「木屑焚きボイラー」を採用しました。蒸気気温を150度まで上昇させることができ、灯油に比べて約85%もの燃料のコストカットに成功。また製材作業で発生した端材の処分費も削減できるため一石二鳥!というシステムです。またこのボイラー1台で複数の乾燥機に蒸気を供給できるためさらに効率アップ。他の材に比べても遜色のない価格で乾燥できる体制が整いました。

木屑焚きボイラー
当製材所内にある木屑焚きボイラーの様子。能力は1000kg/h。
木材の乾燥釜
ボイラーの蒸気は高温蒸気型木材乾燥機に送られます。

「強い」越後杉の誕生

乾燥のコスト面はクリアしたものの、含水率が多い越後杉。いかに割れることなく乾燥させるかが大きな課題となります。そこで、杉に含まれている「ヘミセルロース」と「リグニン」と呼ばれる物質の特性を活かすことを考えます。このふたつの物質は、温度が上がると「軟化」する性質を持っており、さらに含水率が高いほど低い温度で軟化が始まります。そこで最初の蒸煮が終わった初期の段階で約120℃の高温に上げ、木そのものをやわらかくすることで表面割れを防ぎます。含水率が高い杉にはもってこいの方法です。

しかしそのまま高温で乾燥を続けると、今度は外部と内部の含水率の差によって「内部割れ」が発生してしまいます。そのため、最初の1〜2日は軟化させて表面割れを防ぐための「高温低湿乾燥」、その後は90℃前後まで温度を下げて内部割れを抑制する「本乾燥」という方法をとっています(本乾燥は天然乾燥に移行する場合もあります)。

さまざまな工夫を重ね、おおよそ8〜10日間で乾燥が終わり、他の材にも負けない強い坂詰の越後杉が誕生します。「加工の力で、より高品質に。」坂詰製材所はこの理念を元に常に木と向き合っております。

セルロース/ヘミセルロース/リグニンの軟化の違い
引用:日本木材学会 木材強度・木質構造研究会、中村 昇、山﨑 真理子、村田 功二『ティンバーメカニクス 木材の力学理論と応用』(海青社、2015年、86頁)
越後杉の高温乾燥スケジュール
まず「初期蒸煮」で乾燥性の向上、材温を上昇。次の「高温低湿乾燥」にてヘミセルロースとリグニンを軟化させ、表面割れを抑制。最後に「本乾燥」で温度を下げ、内部割れを抑制しながら乾燥します。

2018年の「越後杉品質問題」

乾燥の問題を乗り越え、ようやく当製材所でも確立した越後杉の製材技術ですが、ここで問題が起こります。2018年、越後杉の一部が不適切な検査で出荷されていたことが発覚。越後杉ブランド認証材生産工場79箇所の内、計13工場で正しい検査をせず出荷していたことが判明します。もちろん当製材所の越後杉は問題はなかったのですが、この問題により越後杉ブランドの信頼が失墜する事態となったのです。

当製材所では工学部専攻の検査社員により、科学的データによる木材の検証を行っております。「全自動グレーディングライン」と呼ばれるマイクロ波含水率測定器でデータを抽出。また静荷重試験機などを用い、折り曲げ強度も正しく計測しております。当製材所ではみなさまに安心して越後杉を使っていただくため、日々の検査と品質の管理を決して怠ることはありません。

全自動グレーディングライン
全自動グレーディングラインで3点以上の含水率の平均値を測定。
静荷重試験機
静荷重試験機で折り曲げ強度を測定します。

越後杉にこだわる理由

当製材所は地元新潟の越後杉にこだわります。正しく加工された越後杉は、強く、美しく、そして新潟県の気候にも最適な調湿機能、断熱機能を持っています。建物に使う木材はヒノキ、ケヤキ、米松など、他にも色々な種類があります。それぞれに特徴と良さがありますが、やはり私たちは地元新潟で生まれ育った木で、新潟ならではの想いのこもった建物を作りたい、という信念があります。

新潟の山を活かし、新潟の木を活かす。新潟県産杉の需要を増やし、新潟の林業を守る。坂詰製材所では、このこだわりと使命をもってみなさまに喜んでいただけるよう、日々努力を続けております。

品質が印字された越後杉
品質が印字された越後杉。
越後杉がふんだんに使われた住宅。
越後杉がふんだんに使われた住宅。
 
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